セニングの話①クシ刃の形状 [ハサミの話]
今日はセニングのクシ刃の形状のお話をば。
まず、大別すると
「溝ありタイプ」と「溝なしタイプ」に分かれます。
これは溝ありタイプ
セニング率が一定で表され、閉じて抜く使い方をします。
これらが溝なしタイプ
セニング率に幅があり、腕の動かし方などでセニング率を調節することができます。
一般的に、溝ありタイプが基本セニングです。
理由は、セニングは毛量を調整するために使われるのが主で、セニング率が一定している溝ありの方がメインになっています。
主にニュアンスを出す用に使われるのが溝なしタイプです。
フリーハンドで使えて、セニング率も調節できるので、幅広タイプになると毛量の調節から質感の調節まで使えます。
じゃあ溝なしタイプがいんじゃないの?
と思われそうですが、初めからフリーハンドで練習しませんし、耐久性が溝ありタイプに劣ります。
また、使ううちにパクリやすくなりますので、使い分ける方が賢明です。
溝の形状からV溝 U溝 L溝 とあります。
こちらがL溝タイプ(Lは逆Lですね。)
かつてはV溝(厳密にいうとU溝の仲間?)のセニングだったのですが、10年ほど前よりL溝タイプに変わってきました。
V溝は溝に髪をとらえて切るのに対し、L溝は若干逃がしながら切ります。
そのため、V溝よりL溝の方が柔らかく切れるのです。
その振動の違いは、当然カットされるお客様の頭皮に響きます。
またその振動は腱鞘炎の原因になることもありますので、より柔らかく切るという行為は、自然な進化だと思います。
また、V溝はそのクシ刃が最初にあたるところの髪の毛をつかむため、ラインが片面につきやすいです。
L溝は逃がしながらとらえるという形状の為、カットラインが目立ちにくい利点もあります。
この形状、溝ありタイプ?溝なしタイプ?どちらだと思いますか?
答え。
溝なしタイプです。
形状が逆Lに見えるので、「L(溝)タイプ」と呼んでいるハサミ屋さんがいらっしゃいます。
(呼び名はメーカー毎ちがうことは多々ありますよ)
セニングを見るとき、まず一番に理解するべきは 溝ありか溝なしか です。
これは赤い線が重要で、その部分がフラットであれば、溝なしタイプになります。
緑の○で囲んだ部分は「ガイド」になっていて、棒刃を受け入れるためのものです。
さて、そこでこれは??
うちでは溝ありタイプのカテゴリーに入れているNSH14Mのクシ刃のアップです。
通常のL溝より、溝が浅くないですか?
↑通常のL溝
このため、溝ありでありながら溝なしの要素を持ち合わせているのです。
今このタイプのセニングが流行っています。
「ハサミセニング」とも言われます。
フリーハンド気味で使えて、ある程度セニング率を調節できます。
量も梳くこともできるので、刈り上げのぼかしにも使えます。
重宝されることが多いアイテムです。
カットシザーに比べて、違いが分かりやすいのもセニングです。
いろいろ試してみてくださいね。
ではでは今日はこの辺で!